私たちは今、肚を失った時代を生きています。物ごとを決める重心は少しずつ頭脳へと移り、肚はただの消化器官とみなされるようになりました。戦後の教育改革が頭脳ばかりを重んじ、肚の大切さを忘れさせてしまったからです。肚を置き去りにしたことが、身体を脳の下請けにした近代の歪みになっているのです。

戦前まで、日本人は肚を中心に生きていました。肚を決める、肚を括る、肚に落とす、肚を練る。こうした言葉が今も残っているのが、その証拠です。柔道・剣道・合気道・禅など、日本で「道」と呼ばれる稽古ごとはすべて、求道の精神をもって肚を練り上げていく修行の別名にほかなりません。人生という道を歩むことと、肚を練ることは、日本人にとって元来ひとつのことだったのです。

肚とは、戦後の私たちが密かに失ったものです。肚は単なる言葉でも、臓器の集まりでもなく、人間としての成長すべてを担う場所です。科学的にいえば、肚とは腸内細菌のことです。気力も体力も、生きる力のすべてがそこから湧き出てくる根源なのです。発生学から見ても、肚は生命が最初に生まれた部分だといわれています。つまりは、私たちの故郷とも言えるでしょう。

脳は、見聞きしたことを記憶するだけの器官であり、何をなすべきか、どのように生きるべきかを自ら判断する力はありません。その脳に指令を下しているのが肚なのです。肚という器は、清濁を併せ呑み、矛盾するものすべてを丸ごと引き受けます。生きてきた年月の分だけ、喜びも苦しみも、成功も失敗も引き受け続けてきたからこそ、肚が据わっていくのです。

肚を鍛え上げる過程が、あなた自身固有の運命となり、人生というただ一本の道が築かれます。今、肚を失った現代世界で、執行草舟はBIOTECという会社の営みを通して、日本人の肚をつくり続けています。ここへ来たあなたは、すでに一歩を踏み出しています。見失われた生命・文明・宇宙の中心である肚を、もう一度自分の身体に取り戻し、大器としての自分を育てていく歩みが、ここから始まるのです。

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